板橋区役所前駅2分、大山駅10分、板橋駅15分、板橋本町駅18分の板橋の心療内科精神科
アルコール飲酒下の精神科診察
アルコールを飲酒下では診断をした上での入院や治療が困難となります。
かかりつけの患者様でこれまでの治療経過がわかれば対応は可能ですが、治療経過がわからない患者様の診断をすることはできません。
精神疾患の診断基準の中には精神作用物質を使用していないことが含まれるので酩酊下では診断名を確定することができません。(参考:統合失調症の診断基準、うつ病の診断基準)
また、精神科での入院では精神保健福祉法に基づいて入院形態が決定します。
昭和61年の厚生労働省の告知ではアルコール酩酊下では強制入院ができないことが通知されています。
警察官職務執行法第三条で警察官は自殺のおそれのある者を保護する義務があります。
アルコール酩酊下では酔いが醒めた後での診察となります。
アルコール酩酊下で自殺企図に至ることは少なくないために直接に精神科の医療を提供できないことに非効率さがありますが、厚生労働省の告知に背くことができないために新たな告知が出されることに期待するしかありません。
(参考)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta0090&dataType=1&pageNo=1
○アルコール症者及び酩酊者の入院取扱いについて
(昭和六三年一一月一一日)
(健医精発第四一号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省保健医療局精神保健課長通知)
標記について、別紙第1の岡山県からの照会に対し別紙第2のとおり回答したので御了知願います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 別紙第1 (昭和六三年六月一五日 公衛第二五一号)
(厚生省保健医療局精神保健課長あて岡山県環境保健部)
(長照会)
昭和六十三年五月十三日付け、健医発第五七五号保健医療局長通知により、昭和三十六年八月十六日付け、衛発第六五九号「精神障害者措置入院及び同意入院取扱要領」が廃止されたことに伴い、左記について疑義が生じましたので、何分の御回答をお願いします。
記 1 アルコール症者の入院医療は、いずれの入院形態を採るべきか。 任意入院を採つて差し支えないものか。それとも、精神保健法第三条の規定外疾患として、一般医療として取り扱うべきか。
2 酩酊者ないしは酒乱者の入院依頼があつた際、診察も、本人の同意の意思確認もできないときは、人権保護の観点等から、この状態のままで本人の同意のない入院形態を採ることには問題がある。
このため、このような場合には警察官職務執行法第三条により警察で一時保護し、酔いが覚めた段階で診察し、入院の要否、採るべき入院形態等を判断すべきものと考えるがどうか。
別紙第2 (昭和六三年一一月一一日 健医精発第四〇号) (岡山県環境保健部長あて厚生省保健医療局精神保健課長回答) 昭和六十三年六月十五日公衛第二五一号をもつて照会のあつた標記については、左記のとおり回答します。
記 1 アルコール依存症者については、精神症状を有する場合に精神保健法を適用すること。
2 酩酊者又はでい酔者については、家族等から入院依頼があつた場合、精神科的診察が可能となつた時点で精神保健法の適用の当否を判断すること。 なお、それ以前の医療行為については、医療法に基づいた一般医療に準じて行うこと。
(参考)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000136_20220617_504AC0000000068
警察官職務執行法
第三条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して次の各号のいずれかに該当することが明らかであり、かつ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、取りあえず警察署、病院、救護施設等の適当な場所において、これを保護しなければならない。
一 精神錯乱又は泥酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼすおそれのある者
二 迷い子、病人、負傷者等で適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると認められる者(本人がこれを拒んだ場合を除く。)