板橋区役所前駅2分、大山駅10分、板橋駅15分、板橋本町駅18分の板橋の心療内科精神科
不安時指示
内服ができる時
1.アタラックスP®(ヒドロキシジン)25mgを内服。2時間以上あけて1日3回まで。
2.セディール®(タンドスピロン)5mgを内服。2時間以上あけて1日3回まで。
3.リーゼ®(クロチアゼパム)5mgを内服。2時間以上あけて1日3回まで。
内服ができない時
1.アタラックスP®(ヒドロキシジン)注25mg+生理食塩水50mLを流速200mL/時で点滴投与。2時間以上あけて1日3回まで。
2.セルシン®(ジアゼパム)注5mgを筋肉内注射。4時間以上あけて1日3回まで。
解説
前提として精神科で処方される薬は定時薬として臨床試験がされているために頓服として承認されている薬はありません。
しかし、頓服として処方されることが精神症状を軽減させる上で有効なことは少なくありません。
頓服を内服するかどうかを自己判断することが自身の精神を振り返ることに繋がるからです。
内服の間隔を2時間あけるのは薬の副作用を生じにくくするためです。精神科の薬は朝食後、昼食後、夕食後のような間隔で1日3回の定時薬として薬剤設計されていることが少なくあります。不安時の頓服として2時間以上あけることで添付文書上の投与間隔におさまることが少なくありません。
セディール®(タンドスピロン)を例にするとセディールは添付文書上で1日30mgを3回に分けて経口投与すると記載されています。
頓服薬として午後2時にセディール®(タンドスピロン)5mgを内服したとすると、2時間後に2回目を内服するのは午後4時になります。3回目に内服するのは午後6時になります。この間隔だと添付文書の間隔におさまっていることになります。
選択する薬については不安に対して適応がある薬が望ましいといえます。クロチアゼパム等のベンゾジアゼピン系薬剤が処方されることがありますが、依存形成の観点から第一選択としては望ましいとはいえません。
特に児童、知的障害、境界性パーソナリティ障害の方には薬への脆弱性のためにベンゾジアゼピン系による脱抑制が生じやすいので注意が必要です。
アタラックスP®(ヒドロキシジン)は抗ヒスタミン作用によって不安を軽減します。添付文書上では妊婦に禁忌ですが実際に重大な有害事象を起こすおそれは小さいと考えられます。アレルギー薬として抗ヒスタミン薬を常用している方は薬理作用が重複することがあるので他の不安時の薬を選択する必要があります。
セディール®(タンドスピロン)は全く効かない飲む意味がない薬と揶揄されることがありますが、個人差の大きい薬です。セディール®(タンドスピロン)はセロトニン受容体へのアゴニスト作用によって不安を軽減させる作用があります。2週間程度の内服継続で効果は大きくなります。
身体症状に過敏な方にはセディール®(タンドスピロン)は効果があることが多く、副作用を感じやすいことが多いです。一方、そうでない方にはセディール®(タンドスピロン)を内服しても効果も副作用も感じないということがあります。セディール®(タンドスピロン)は薬への反応性を確かめる方法の1つとなります。
(参考)
せん妄の臨床指針-せん妄の治療指針 第2版(日本総合病院精神医学会治療指針 1)
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1150111150.pdf