板橋区役所前駅2分、大山駅10分、板橋駅15分、板橋本町駅18分の板橋の心療内科精神科
板橋の心療内科精神科の不穏時指示
内服ができて糖尿病がない時
1.クエチアピン12.5mgを内服。1時間以上あけて1日3回まで。
2.ヒドロキシジン25mgを内服。1時間以上あけて1日3回まで。
3.フルニトラゼパム注2mg+生理食塩水50mLを流速400mL/時で点滴投与。SpO2モニターを装着し、付き添いの下で投与。入眠したら投与中止。時間関係なくフルニトラゼパムは1日4mgまで。
内服ができて糖尿病がある時
1.ペロスピロン4mgを内服。1時間以上あけて1日3回まで。
2.ヒドロキシジン25mgを内服。1時間以上あけて1日3回まで。
3.フルニトラゼパム注2mg+生理食塩水50mLを流速400mL/時で点滴投与。SpO2モニターを装着し、付き添いの下で投与。入眠したら投与中止。時間関係なくフルニトラゼパムは1日4mgまで。
内服ができない時
1.ヒドロキシジン注25mg+生理食塩水50mLを流速200mL/時で点滴投与。1時間以上あけて1日3回まで。
2.ハロペリドール2.5mg注+生理食塩水50mLを流速200mL/時で点滴投与。1時間以上あけて1日3回まで。
3.フルニトラゼパム注2mg+生理食塩水50mLを流速400mL/時で点滴投与。SpO2モニターを装着し、付き添いの下で投与。入眠したら投与中止。時間関係なくフルニトラゼパムは1日4mgまで。
※点滴ルートがない際、ヒドロキシジン注25mgを筋肉内投与、ハロペリドール注2.5mgを筋肉内投与にします。
※パーキンソン病、レビー小体型認知症、重症の心不全ではハロペリドールは禁忌になるために使用できません。
解説
クエチアピンについて
せん妄の治療には鎮静効果があり、鎮静効果が翌日に持ち越さないことが必要です。その結果、クエチアピンはせん妄に対して世界で最も用いられている薬剤です。
しかし、日本でクエチアピン投与で死亡に至った事例があることからクエチアピンは世界中で日本のみ糖尿病に禁忌となっています。
ヒドロキシジンについて
抗精神病薬の多剤投与は有害事象が生じる可能性があります。そのため、不穏時指示の2番目に用いる薬剤としては抗ヒスタミン薬であるヒドロキシジンが有用です。
しかし、抗ヒスタミン薬の中でも抗コリン作用が小さいためにせん妄を引き起こすおそれは大きくありません。
ペロスピロンについて
クエチアピンと比較してペロスピロンは鎮静作用が弱い、食事によって吸収効率が異なる点に注意が必要です。
しかし、ペロスピロンはその基本骨格から寝る前のような空腹時の内服は食後の内服に比べて吸収効率が半分になってしまいます。そのため、内服した時間によって鎮静の効果が異なります。
フルニトラゼパムについて
入眠させることで興奮を鎮める方法で極力避ける必要があります。
しかし、せん妄の興奮で危険が想定される際の使用はフルニトラゼパム注の使用はやむを得ないと考えられます。
フルニトラゼパム注で呼吸が抑制される際は、フルマゼニル注0.2mg+生理食塩水50mLを流速400ml/時を点滴投与し、フルニトラゼパムの作用を拮抗させる必要があります。
退院時処方について
退院時には環境変化によって不穏が軽減することが期待されます。そのため、退院時処方に不穏時の薬は不要です。しかし、患者様が希望される際は不穏時の頓服として10回分を処方しましょう。
※せん妄の臨床指針-せん妄の治療指針 第2版(日本総合病院精神医学会治療指針 1)より引用
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1150111150.pdf